はぐれ者の単騎特攻

ニチアサや読書について書くはずです

2020-01-01から1年間の記事一覧

「ジオウ」後だから書けた快作、「小説 仮面ライダー電王 デネブ勧進帳」ネタバレ有

テレマガ公式による、ゼロノスを主役にした小説「小説 仮面ライダー電王 デネブ勧進帳」が発売されるという発表は大きな反響を呼んだ。 これなーんだ?ヒント: しいたけ#仮面ライダー電王 pic.twitter.com/gJWDRDqPYz — テレビマガジン (@tele_maga) 2020年9…

忍者と極道とプリキュア

かんこつ‐だったい〔クワンコツ‐〕【換骨奪胎】 [名](スル)《骨を取り換え、胎(こぶくろ)を取ってわが物として使う意》先人の詩や文章などの着想・形式などを借用し、新味を加えて独自の作品にすること。 デジタル大辞泉より 近藤信輔作「 忍者と極道」は…

流行りものに「けっ!」となる心性と鬼滅の刃

こんちは、鷹クラーケンです。最近は心身ともに青息吐息で気付けば月三本記事を上げるはずだったブログからも足が遠ざかっていました。これからはゆったりまったりがいいのかと思うのですが、何せ立ち上がったばかりのブログなのであまり放っておくと折角身…

アンダー・ザ・シルバーレイク 感想 あのころ僕らに必要だったこと

まずひとつ断っておくとこの記事はアンダー・ザ・シルバーレイクを見て多くの人が抱くであろう「元ネタはなんなんだろうか」「さりげなく写り込ませているアレってなに?」といった疑問を解消してくれる類いの記事ではない。その手の解説を書くには私はあま…

2分間ミステリ的なものに本気で挑むまでの話

読者への挑戦まで読んで本を閉じて手がかりを吟味するもよし、素通りして解決編へ進むもよし。この自由がミステリには、もう少し広く言えば読書には与えられている。だから私は推理を放棄して手がかりになりそうな部分だけを頭に入れて読み進めていく。しか…

がんばれいわ‼ロボコン/スプリンパン/人体のサバイバル 感想 浦沢脚本に埋もれない力強い三本

今回の三本立て、MOVIE大戦アルティメイタム以来のスクリーンで見る浦沢脚本……以外にも見どころ溢れる強烈なラインナップでした。 「三本立てっていうのは三本とも立てるから三本立てなんだよ」との意思を感じて大変良かった。 がんばれいわ‼ロボコン ウララ…

映画「屍人荘の殺人」宣伝班に騙されましたーネタバレありー

「しじんそーのアレがさー」「屍人荘といえばやっぱアレなんだよな…」 屍人荘の殺人を語るときに歯切れ悪く言及されるアレ、読んだ人がほとんどだろうけど未読の人もいるかもしれないしボカシておきたいアレ、流石にそろそろ時効だろうから言うけど屍人荘と…

悪の組織の構成員が被征服民だと楽しいし大星団ゴズマは最高

今月はライダーとプリキュアについて語ったから戦隊がらみでもなにか語っておこう。私はヒーローと同じように、あるいはそれ以上に悪側の人間が好きなんですよね。悪役だからこそ描けるむき出しのエゴや邪悪さ、意外な人間味、矜持。こういった要素に強く惹…

ヒーリングッどプリキュア13~17話

久々にプリキュアの感想でも書くかと思った次第。戦隊とライダーの総集編はなんだかんだ言っても新規映像があったけどプリキュアは再放送の一本槍なので「再放送だったら睡眠をとろうかな」の心理が働いて全く見れてなかったし、視聴自体が本当に久々。 …だ…

NEW電王を振り返ってみないか?

ーお前、電王の仲間か?! ーていうより、今から俺が、電王! 登場そうそう野上幸太郎/仮面ライダーNEW電王はイマジンの問いかけにこう言い放つ。 これは観客に向けた宣言でもある。2008年に公開された「劇場版 さらば仮面ライダー電王 ファイナル・カウント…

2020年上半期の本 Best10+1

半期ごとに面白かった本を10冊選出するように心がけている。普段なら書名を並べてツイートして終わりなのだが今回は折角ブログを始めたことだしそれぞれの作品について軽く感想を書いてみたい。 作品の順列は基本的に五十音に従う。 異セカイ系 インディビジ…

日常用語で使えてほしい将棋用語

日常生活には「専門用語」が溢れている。女子高生がJKを自称していると私は正直ギクッとする。寿司屋で符牒をこれ見よがしに使う客は嫌われる。 そんな専門用語にはボードゲームに由来する言葉がとても多い。例えば囲碁からは「ダメ押し」「布石」、麻雀から…

図書館の魔女、アニメ化してくれ

図書館の魔女がアニメ化されたらいいのにな。 図書館の魔女という傑作ファンタジー小説がある。本当なら会う人会う人に勧めて回りたいのだが、この小説欠陥があって、人に勧めるにはいかんせん長すぎる。私は作品の長さを作品に浸れる時間に結びつけて考える…

「ヘルシーをやみつきに」って端的に矛盾じゃん

キーwwwwwウーwwwwwイーwwwww まずはこちらのCMを見てほしい www.youtube.com健康的な習慣も楽しくないと続かないという主張には説得力があって「最近野菜足りてないし明日からキウイ食べようかな」と思わせてくれる。でもその前にやらないといけないことが…

ハイローザワはワートリのランク戦

HiGH&LOW THE WORST(ザワ)の凄さってワールドトリガー(ワートリ)のランク戦に通じる部分があるのかも。今回はいつにもまして与太話寄りです。 去る2019年10月に公開されたザワは、ハイローシリーズの主要舞台であるS.W.O.R.D地区を仕切る五大勢力の一つ鬼邪…

犬身の解説(蓮實重彦)が凄かったんだって

tyudo-n.hatenablog.com 以前書いたこちらの記事で「犬身」の感想も書くと宣言したが、少しズラして文庫版に付された解説の感想を書いてみる。 蓮實重彦という評論家が著名な大家であることは知っていた。しかし、彼の評論を読もうとは思ってこなかった。強…

ザ☆ウルトラマンはウルトラマン入門にうってつけ

ザ☆ウルトラマンはウルトラシリーズの中でも一風変わった作品といえる。科学警備隊に所属するヒカリ超一郎はバッジを額に当て「ウルトラチェンジ」と叫ぶことによってウルトラマンジョーニアスへと変身する――こう書くとテンプレめいた設定だが実はこの作品、…

牙狼-VERSUS ROAD-を見ている人ってどれくらいいるわけ?

牙狼シリーズの最新作、牙狼-VERSUS ROAD-(牙狼VR)が放送中だ。牙狼シリーズとは2005年に第一作が放送され、今に至るまで断続的にではあるが新作が作られ続けている深夜特撮の最後の砦(諸説あり)だ。複数の世界観の作品が並行して走っているので視聴の順番に…

機甲艦隊ダイラガーXVが面白い

ロボットアニメの進化の袋小路程度に思っていた機甲艦隊ダイラガーXVが思った以上に面白い。 15機のロボが合体して出来上がる巨大ロボットという情報からイロモノを想像していた。ゲッターロボやザンボット、グラヴィオンを例に出すまでもなく合体ロボは面白…

漫画版 仮面ライダークウガ 13巻とか風立ちぬの矛盾とか

「アギトが主役だ‼」 13巻を書店で手に取ってまず初めに目についたのがオビのアギトが主役になるという大胆な宣言だ。実際に買って読んでみるとこの宣言に嘘偽りはない。第13巻では傷心の五代の姿はほとんど描かれず津上翔一を中心に物語は進む。 駿河やさや…

メメタァミステリ ジョージジョースター 舞城王太郎

コラボレーションによって生まれる創作物には複数の才能が交差して生まれる輝きがある。しかしながら大多数の消費者はそれを望んでいない。 A×Bを謳っても現実にはA'やA+1/nBが望まれているのだ。 たとえば漫画やアニメが実写化されると原作との差異を見つけ…

ミスターガラス ヒーローに仕掛ける憑き物落とし

京極夏彦いいよね……京極夏彦のデビュー作、姑獲鳥の夏に連なる百鬼夜行シリーズの探偵役中禅寺秋彦は、摩訶不思議な事件を「憑き物落とし」で華麗に解体する。「この世に不思議なことなど何もないのだよ」と語る彼によれば不思議とは人間の認識によって生ま…

匣の中の失楽

先日読んだミステリ小説、匣の中の失楽を紹介する。かなりの長編であることと奇抜な内容から全ての人にお勧めできる小説ではないが普通のミステリに飽きてしまった人には強くお勧めしたい。 「匣の中の失楽」はミステリ、それも衒学ミステリに属する作品だ。…

「だいしゅきホールド起源論争」とか分人主義とか帰属意識とか

インターネット帰属意識、持っていますか?終身雇用制度や地縁血縁の崩壊が騒がれて久しいこの時代、自分が「どこ」の「誰」なのか決めることは難しくなっている。もう少し正確に言うと一貫した自分という幻想が崩れつつあるのだ。 大学デビューなどのいわゆ…

リュパパト 衝突した正義の継承者

※書こうと思ってから時間が空いたので映画の記憶はおぼろだぞ 「スーパー戦隊MOVIEパーティー」が2月8日に全国の映画館で公開された。この作品は「劇場版 騎士竜戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー」(リュパパト)と「魔進戦隊キラ…

プリキュアのイメージカラーとスタプリ 後編

tyudo-n.hatenablog.com パート1(前編)はこちら 一応前回の記事を読んでいただいたほうが話の流れが繋がりやすいと思うのでぜひ読んでみて下さい。 ピンクキュア(星奈ひかる/キュアスター) 「前向き」 挫折を味わい下を向くことはありましたが(11話:輝け☆ …

妖怪ウォッチ4++を買った

妖怪ウォッチ4++を買った。ので改めて私の妖怪ウォッチへの思いを書いてみたい。 私は妖怪ウォッチ好きのつもりでいるが実際に遊んだゲームは「2」(本家)だけだしアニメもとびとびでしか見られていない(強いて言えばコロコロ版の漫画も途中までは読んでい…

P.A.R.T.Y.のOver Quartzerと平成ライダーの文脈への理解度は異常

2019年、一番クールだった映画は「仮面ライダージオウ Over Quartzer」(以下OQ)だ。 テレビでは収めきれなかったドライブ編を抱え込みつつジオウの総決算と平成ライダーの総決算をやり切り、しかもそれが空中分解するどころか奇跡的なレベルでかみ合っている…

プリキュアのイメージカラーとスタプリ

本当ならスタプリ最終回を見てこの番組が一年かけて何をしようとしていたかについて語りたかったんだけど書き始めてすぐに自分の手に余ると分かってしまったので今回はプリキュアのイメージカラー? メンバーカラー? の系譜とスタプリについて語ります。ち…

最愛の子ども 松浦理英子

とても素晴らしい物語を読んだので紹介したい。松浦理英子の「最愛の子ども」だ。当然のように作品の結末に近い部分にも言及するのでネタバレが嫌な未読者はブラウザバックしてほしい。単行本で200ページ程度なので読みやすいだろうし読み終えてから再びこの…