図書館の魔女がアニメ化されたらいいのにな。
図書館の魔女という傑作ファンタジー小説がある。本当なら会う人会う人に勧めて回りたいのだが、この小説欠陥があって、人に勧めるにはいかんせん長すぎる。私は作品の長さを作品に浸れる時間に結びつけて考えるので、長くて面白そうな作品であれば読んでみたいし見てみたいし明日のナージャをとにかく一度見て下さい。
しかしまあ、単行本にして1400ページ以上ある作品を前にすれば「面白そう」よりも「読み切れるのかな」が先に来てしまうのも無理はない。だから私はアニメ化を切っ掛けに人気に火がつく日を一日千秋の思いで待ちわびている。
あらすじは講談社文庫版からの引用。
鍛冶の里に生まれ育った少年キリヒトは、王宮の命により、史上最古の図書館に暮らす「高い塔の魔女」マツリカに仕えることになる。古今の図書を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声を持たないうら若き少女だった。超弩級異世界ファンタジー全四巻、ここに始まる!
いやー、ワクワクしますねえ!
私が思うに「超弩級異世界ファンタジー」の構成要素として特に大きいのは以下の要素だ。
・大国の陰謀渦巻く大陸で、マツリカを筆頭に高い塔の一党が知略で政局を動かす痛快さ
・図書館の果たす役割の大きさや情報の階層化の難しさ、情報は使い方次第であることなどが自然と脳に定着する楽しさ
・マツリカとキリヒトが互いにかけがえのない存在として認めあっていくボーイミーツガールの面白さ
・多様な出自の人々が入り混じるカオティックな都市、単一民族が作る均整のとれた都市など異国の情緒を居ながらにして味わえてしまう不思議さ
マツリカとキリヒトに焦点を当ててもう少し作品の魅力を深掘りしたい。二人は互いの足りない部分を補えるベストパートナーなのだがその前に二人がどういった人物なのかを説明しなければ。
マツリカは本を通じて得た膨大な知識と天性の洞察力を持つ天才ですが口が悪く世事に疎いところがあります。キリヒトは文字すら読めない無学な少年ですが、五感と反射神経に優れとっさの動きにはマツリカをも驚嘆させるものがあります。
彼らの会話には一種の様式美のようなパターンもあって、そこに二人の可愛げが詰まっていると思う。広く通じるたとえじゃないけど翔一君と氷川さんのようなもの。
「高い塔の業務や政情についてキリヒトが素朴な疑問を発すると、マツリカが皮肉を織り交ぜてやり込めながらも何度でも丁寧に解説し、会話についてこれるようにしてくれる」
言ってみればこれだけなんだけどマツリカがイキイキしながら説明する様子や、スピードを増す手話に懸命に食らいつくキリヒトが目に浮かんできて非常に面白い。
作品上の役割としては読者に対する情報開示に当たる会話だが、そこにちゃんと面白さがあるのはやはりすごい。
この二人が組むとどんなことができるのか。例えばマツリカはキリヒトによって声を獲得します。キリヒトが握りこんだマツリカの手のわずかな動きを音に対応させ、即座に声に出す。
膨大な知識をため込みながらも手話を解せぬ相手には己が思いを伝えられぬマツリカ、使命への忠実さゆえに自己主張の弱いキリヒト、この2人が手を結べば言葉は迸り世界は動き出す。
あ、それと途中で図書館配属の近衛兵が登場するのですが、その中の一人、あえて名は伏せます、がハチャメチャに良いキャラしてます。
ここらで話をアニメに戻しておかないとな。
最初に述べた通りこの作品兎に角長い。だからアニメにするなら2クールはほしい。声優についてはそんなに詳しくないけどマツリカの手話に声を載せるなら、抑揚が大きくてサディスティックなセリフが下品な響きを持たない人にしてほしい。そして、キリヒトの声はマツリカの言葉にこもった情報を細大漏らさず伝えてくれるものであってほしい。
あー、そうかキリヒトの凄さを伝えるにはマツリカにも声があったほうがいいのか。
あとは、マツリカの手話のダイナミズムが視聴者にも伝わってほしいなあ。
アニメ化の要望がまず虫がいい考えなので虫がいいついでにもう一つ願望を吐露しちゃおう。
霆ける塔を早く刊行してください。
2016年内に刊行予定って言ってたじゃないですかやだー。令和元年刊行とも言ってたじゃないですかやだー。
作者ブログによれば着々と進んでいるらしいけどね。アニメ化したらこちらの動きも目に見える形で現れるんじゃないかなー、どうでしょう。
図書館の魔女は続編が出れば読み返すのでそうしたら内容に踏み込んだ記事を書きます。