はぐれ者の単騎特攻

ニチアサや読書について書くはずです

ハイローザワはワートリのランク戦

HiGH&LOW THE WORST(ザワ)の凄さってワールドトリガー(ワートリ)のランク戦に通じる部分があるのかも。今回はいつにもまして与太話寄りです。

去る2019年10月に公開されたザワは、ハイローシリーズの主要舞台であるS.W.O.R.D地区を仕切る五大勢力の一つ鬼邪高校(おやこうこうと読む)が名作不良漫画「WORST」の鳳仙学園と全面対決するエンタメ映画です。

ソード地区の青年は大人の喧嘩に首を突っ込んだ若者でしたがそんな彼らから見てもさらに若い全日制の高校生を主人公に据える挑戦(ソードを仕切るのは何年も留年している定時制)がバッチリ成功していて「ハイローつえぇなーー!」となりました。

 

一方ワートリは、異界の侵略者ネイバーと防衛組織ボーダーの間に繰り広げられる戦いを描いた漫画です。

アンケ至上主義とされる少年ジャンプでは珍しく遅効性SFとも呼ばれるほどの断片的な情報の出し方と描写の積み重ねが特徴のちょっと変わった漫画といえます。

私はアニメがきっかけでワートリに触れたのですが一話時点ではまだその面白さに気付けず、モブ生徒の声が前番組の松太郎のモブと同じ声優であることにばかり食い付いてワートリ好きの友人に軽くひかれました。

 

さてさてワートリが読者に刷り込んだ様々な情報が一気に面白さに転化するのがランク戦(11巻~)です。ここに至るまでにもギアは上がり続けていたのですが、ここからは指数関数的に面白くなります。いや本当だって。

このランク戦の何が面白いって集団戦の面白さと強さの裾野が広がり続ける点。これって要するにザワの面白さでもあるんですよね。

ボーダー内のランクを決めるランク戦では複数のチームが三つ巴、四つ巴になり敵の撃破や生存を狙います。「全てのメンバーが置かれた状況で最善を尽くして戦う」というのは当たり前ですがそれを漫画にするのは大変なことでしょう。

さらにエンタメとしては意外性のある展開もほしいところですが戦闘員が持てる武器は事前に開示されているため多くの読者の予想を裏切った上で納得させるなどは考えただけで眩暈のする難事です(スコーピオンとグラホとワイヤーは応用利き過ぎでしょ)。

 

ランク戦のスマートかつ緻密な集団戦と違い豪快な魅力があるのがザワの集団戦といえます。

 

中盤の大乱闘では「個の鬼邪高」と「団結力の鳳仙」の本気の殴り合いを縦横無尽に飛び回るカメラが収めます。一瞬しか映らないキャラであってもキャッチーな動きで印象を残そうとしてくる情報の大洪水はそれだけで満腹感を覚えるほどでした。

終盤にあるさらなる大乱闘ー絶望団地攻略戦ーでは「その場にあった梯子を破城槌に使う」「上層階にいる戦闘員を投石で倒す」などの原始的な攻城戦を見せつけてくれます。ここまで人間が束になることの強さを直感的に分からせてくれる映像はちょっと他には思いつかない。ウルトラマンティガの最終回か?

 

強さの裾野に話を移すとまずワートリでは序盤にブラックトリガー争奪戦という上位の隊員同士の戦いがあるんですね。

ここでS級隊員が多くのA級隊員を相手に一歩も引かない姿を見て「A級=大したことない」の図式が生まれるのですが、異世界との実戦を経て大したことない枠は無事B級へと引き継がれます。ところがランク戦を見るとB級がいかに侮れない恐ろしい敵であるかがひしひしと伝わってくるのです。

こうしてブラックトリガー争奪戦に事後的なインフレとでもいうべき現象が起こり、S級隊員の途轍もなさに改めて感心するわけです。

 

これはザワでもほとんど同じことです。先に上げた投石戦術を編み出し、勝利への活路を開いた一騎当千の男がソード地区対九龍の大人同士の戦いでは辛うじて二線級の戦力だったことに気付くと何とも言えない空恐ろしいものを感じます。

今までメラだと思っていたものがメラゾーマだったなら、あの「メラゾーマ」ってなんだったのってなる……。

 

ということで今回は本当に与太話でした。