はぐれ者の単騎特攻

ニチアサや読書について書くはずです

NEW電王を振り返ってみないか?

ーお前、電王の仲間か?!
ーていうより、今から俺が、電王!

登場そうそう野上幸太郎/仮面ライダーNEW電王はイマジンの問いかけにこう言い放つ。
これは観客に向けた宣言でもある。

2008年に公開された「劇場版 さらば仮面ライダー電王 ファイナル・カウントダウン」では仮面ライダー電王の主役野上良太郎を演じた佐藤健がシリーズを卒業することとなり、特別出演としてクレジットされていた。そのため幸太郎を演じる桜田通が主演となっている。

出演声優が主題歌を歌えばCDがオリコン週間チャート2位につくなど、非常な人気を誇った電王で作品を作るために新たなる主役が必要とされていたというのは想像に難くない。

良太郎の孫であるという正統性と、自力でオーラを纏いイマジンを武器にして戦うライナーフォーム相当の戦闘方法は新しい主人公の設定としては十二分に恵まれている。

しかし、さらば電王の主軸はモモタロスと良太郎の関係にあり、幸太郎は二人の絆を認め祖父への認識を改めるゲストといったところだった。さらに、子供化した良太郎であるコタロウも配置されるなどどの程度まで主役として扱って良いものか決めかねる雰囲気があった。

しかしその後の「EPISODE BLUE派遣イマジンはNEWトラル」では名実共に主演を務め、2011年の「オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー」ではとうとう「仮面ライダー電王」を名乗るまでになる。徐々にキャリアを積み重ねてきた印象のあるNEW電王だったが……


レッツゴー仮面ライダーを最後に野上幸太郎は突然姿を消す。そしていまに至るまで扱われずにいる。

「さも冷遇されたかのように語るけど足掛け四年も活躍したんだ、充分だろう」という人もあるかもしれない。私だってそう思わないこともない。
だが、カウントダウンをしなくなったという成長がしっかり引き継がれるなど繊細に取り扱われていた印象もあるからこそ彼のその後をみたいと思うのも人情だ。


最近、佐藤健の客演や新作映画上映などで電王がフィーチャーされつつある中でNEW電王にはこれといった動きがない(プレバンでベルトを発売したのは2017年なので最近というには少し苦しい)。

ジオウではミライダーやアクアなどの未来の主役級ライダーも多数登場し、ヒーロー大戦以降行方の知れなかったディエンドも再登場を果たすなど幸太郎の登場もあり得たタイミングだっただけになおさら惜しい。


まだまだNEW電王にはポテンシャルがある。たとえば「良太郎の結婚相手、すなわち幸太郎の祖母とは誰なのか」という謎は十分に物語を生み出しうる。また、新たなるイマジンとの契約もありえる。

電王世界では記憶と時間、そして存在は等価だ。私たちが幸太郎を記憶にとどめておくことでいつの日か彼の新たなる物語に出会えるようにと祈っている。