はぐれ者の単騎特攻

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牙狼-VERSUS ROAD-を見ている人ってどれくらいいるわけ?

牙狼シリーズの最新作、牙狼-VERSUS ROAD-(牙狼VR)が放送中だ。牙狼シリーズとは2005年に第一作が放送され、今に至るまで断続的にではあるが新作が作られ続けている深夜特撮の最後の砦(諸説あり)だ。複数の世界観の作品が並行して走っているので視聴の順番にこだわると結構めんどくさいし私も追いきれていないが、その分好きな作品の続編がいつか出るかもしれないという希望を持ちやすくシリーズの展開として変則的ながら面白い。

 

シリーズ15周年に当たる今年に人気作の続編を持ってくることも出来たかもしれないが牙狼牙狼VRによって2020年を挑戦の年に位置付けた。

 

今作における牙狼の黄金の鎧の立ち位置はかなり独特である。従来の人知れず人々を守る黄金騎士はVR世界にはいない。牙狼VRではVR機器で(作品の略称に別の意味を持たせるの好き)別世界へと転送された百人が生き残りと賞品をかけ、ミッションをクリアしながら殺しあうのだがその賞品こそが黄金の鎧なのだ。

争う人間から出る邪気(陰我)を見てほくそ笑む運営はあからさまに怪しい。運営が本性をさらけ出した時に人々は手を取り合えるのだろうか。そもそも運営と戦うかもしれない「人々」は誰になるのだろう。バトロワものであるがゆえに誰が生き残るのかが読めない。

特撮×バトロワと聞けば少しでも特撮に詳しい人なら「仮面ライダー龍騎」を思いだすはずだ。

OPのシャドーボクシングをしている参加者に黄金の鎧が重なる演出も龍騎の顔が隠された老若男女がカードデッキを持つ演出を思い起こさせる。VR世界は誰もが黄金騎士たりえる世界というわけだ。

 

さて、今後の展開を占ううえで重要と思われるのがVR世界で行われた第一のゲームと第二のゲームの違いだ。

第一のゲームでは100人は50人になるまで生き残ることを求められた。そして第二のゲームではフィールドからの脱出を求められた。この二つのゲームの最も大きな違いはゼロサムゲームかそうでないかである。ゼロサムゲームとは簡単に言えば限られた資源の奪い合いである。第一のゲームは椅子取りゲームのようなもので明確にゼロサムだ。しかし、第二のゲームはそうではない。脱出に必要なカギは死んだ人間から得られるため「殺さなければ生き残れない」という錯覚が起き、またも人々は傷つけあった。一見するとゼロサムゲームだが裏道でのクリア方法がある。それはゲーム開始前に配られた「思うままの形をとる」アイテムを鍵へと変形させることだ。もしも初めからこの方法に気付いていれば50人全員が生き残ることも夢ではなかった。私としてはこのVRゲーム自体に似たような構造が隠されているのではないかと予想している。

 

ところで、東映特撮経験者の起用率を牙狼らしさの一つとして数えても異論は出まい。今作でもキュウレンジャーで宇宙連邦初代大統領・鳳ツルギ/ホウオウソルジャーを演じた南圭介が出演している。ギャラスでは女性を弄ぶ色男を演じ悪役適性の高さを見せたが今回演じるのは動画配信者を育て上げ搾取する男。彼がどんな末路を迎えるのかぜひ見てほしい。

というわけで牙狼VRはまだ始まったばかりなので今からでも追いついて牙狼の新しい15周年の始まりを見届けよう。