はぐれ者の単騎特攻

ニチアサや読書について書くはずです

リュパパト 衝突した正義の継承者

※書こうと思ってから時間が空いたので映画の記憶はおぼろだぞ

 

スーパー戦隊MOVIEパーティー」が2月8日に全国の映画館で公開された。この作品は「劇場版 騎士竜戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー」(リュパパト)と「魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO 」、プリキュアとのコラボダンスの三本立てだ。

 

三本の中でも一番多くの分量を占めるリュパパトがかなり理想的な作品だったので語らせてもらう。

 

まず今作でコラボする二つの作品について紹介しよう。「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」(ルパパト)は「失った大切な人を取り戻すために戦う快盗 世界の平和を守るために戦う警察 君はどっちを応戦する?」とのOPナレーションからもわかるように二つの戦隊が異なる目的のためにぶつかり合う前代未聞の作品で、大まかに言って従来の戦隊よりも高めの年齢層を意識したような人間ドラマが特徴だ。「騎士竜戦隊リュウソウジャー」(リュウソウ)は騎士道を掲げるリュウソウ族の五人の若者が、人間の感情を利用して悪事を働くドルイドンと戦う作品だ。一見すると王道風の装いだが、従来は後半に置かれていたロボ戦を等身大の戦いと並行して行ったり、場合によっては全く行わないなど挑戦的な部分も大きい。

 

ルパパトとリュウソウの競演にあたってまず心配だったのが二作品・三チームの交流をしっかりと書けるのかという点だった。限られた時間の中で複数の出会いと共闘に説得力を持たせるのは難しいのではないか、そう感じたのだ。

 

前年の「ルパンレンジャーVSパトレンジャーVSキュウレンジャー」(ルパパトキュウ)でルパパトはキュウレンジャー(キュウレン)とコラボした。キュウレンもまた異色作で前代未聞の12人チームだったため公開前はどのように捌ききるのかと固唾をのんで見守っていた。ところがふたを開けて見るとキュウレン本編でもしばしばあった複数部隊に分かれての行動がうまく使われ、むしろ見たかったキャラの組み合わせを多く見られた。

 

リュパパトもうまくやれるだろうかと期待半分不安半分で劇場に赴いたがまあ↑余計な心配だった。ストーリー、ギャグ、アクションの全てに於いてレベルが高く、見てて非常に楽しかった。

 

伝統芸能の域に達していたカナロの婚活芸やルパンレンジャーの面々のその後など語れるポイントは山ほどあるがここではあえてクロスオーバーの妙に絞って話を進めていく。結論から言うと「大切な人を取り戻す」正義と「人々の平和な暮らしを守る」正義が継承され「騎士道」と一つになる過程がクロスオーバーの肝だ。

 

映画の流れに大まかに沿いながら書いていこう。

些細なことでコウと喧嘩をしたティラミーゴがギャングラーの残党ガニマ・ノシアガルダに囚われる。ステイタス・クインティプルである彼はティラミーゴやモサレックスなど5体の騎士竜を体の金庫にそれぞれ収め、その力で世界を破壊しようとする。カナロを除くリュウソウジャーはガニマに挑むも圧倒的な力でコウを吹き飛ばされ歯が立たない。

 

ノエルからギャングラーの情報を聞き街に出たバンバとトワは剣を堂々と持っていたため、国際警察の圭一郎に逮捕される。ここもリュウソウ世界にツッコミが入った感覚で面白かった。事情は話せないと頑なになるバンバとトワだが「困っている人は放っておけない」圭一郎と咲也の思いに胸を打たれる。


ここまで踏まえてみると先ほどの逮捕劇も「どんな人も市民として扱う」パトレンジャーらしさにあふれていて名シーンのようだ。

 

その後、リュウソウとパトレンと交戦中のガニマは「ステイタスクインティプルゴールド」という未知の存在へと変化する。金色の金庫は2つのダイヤルファイターを使わないと開けられないためガニマから騎士竜を取り戻すには10個のダイヤルが必要。


ティラミーゴ達を解放するには金庫を開けてから倒さなければいけない。ところがダイヤルファイターが8個しかないために騎士竜ごと倒すしかない。

リュウソウを見ていたなら気づくだろうがフエソウルでダイヤルファイターを増やせば解決しそうに見える。だがそれではコウ達は自分の手で騎士竜を解放したことにならない。ルパレンの意思を継ぐためにはそれではダメなのだ。


撤退した一同は龍井家に集まる。パトレンが解決策が見つかるまで体を張って市民を守ると提案する一方、リュウソウの面々は騎士竜ごと倒す覚悟をきめる。ただ、コウは受け入れられずに飛び出してしまう。


掲げた騎士道と自分の思いの板挟みになるコウに魁利が助けることを諦めてもいいのかと檄を飛ばす。

個人的にはここが一番好きで、快盗になってまで兄を取り戻そうとした魁利にはコウの気持ちが痛いほど分かるからこそ、自分の気持ちを圧し殺すなと説得力を持って言えるんだ。


コウがたどり着いた結論は解決策が見えるまで犠牲を出さずにガニマを食い止め続けるというもの。最も厳しい道だったがそれを聞いた仲間たちは迷わずに決意を固める。

で、その後は三大戦隊揃い踏みを見せてノエルの奇策で騎士竜を解放した上でガニマを倒してハッピーエンドだ。

 

今回私は事前の情報を仕入れてこなかったがエンドロールで脚本家の名前を見て納得した。香村さんと荒川さんの連名ならそらおもろいわ。アクションもここでしか見られないアイテム交換がたくさん見られるので監督にも感謝。

 

リュウソウはそもそも第一話で師匠の死を描いて、使命を受け継ぐ戦士を扱ってきた。そんな彼らがスーパー戦隊シリーズの歴史を受け継ぐチームとして先代の価値観も受け継いでいく訳で二重に三重においしい映画だった。来年製作されるであろう「VSキラメイジャー」でどのようにバトンを渡すのか今から楽しみだ。