はぐれ者の単騎特攻

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機甲艦隊ダイラガーXVが面白い

ロボットアニメの進化の袋小路程度に思っていた機甲艦隊ダイラガーXVが思った以上に面白い。

 

15機のロボが合体して出来上がる巨大ロボットという情報からイロモノを想像していた。ゲッターロボやザンボット、グラヴィオンを例に出すまでもなく合体ロボは面白いけど人数を増やせばいいってもんじゃないでしょうよ…って。

存在は知っているが見たことはない作品なんていくらでもあるし、ダイラガーもそうなるはずだった。しかし、超合金魂 GX-88 機甲艦隊ダイラガーXVの発売に伴うyoutubeでの無料配信(とフォロワーさんの感想)が私の気を変えた。

 

 かつて人間は海に青春をかけた。七つの海にはロマンと野心、冒険心と功名心が炎と燃えて激突していた。そしていま西暦2200年の若者は宇宙の海へ挑む。そこには我々の想像を超えた世界が待ち受けているのだ。(OPナレーションより)

 

 ダイラガーが大航海時代を意識していることはまず間違いないと思う。惑星探査の為に宇宙へと乗り出す若者は未知の大陸を目指して大海原へと乗り出した男たちと重なる。

 

大航海時代と違うのは同じく宇宙へ乗り出すガルベストン帝国が地球にとって全くの未知の存在である点だ。スペインとポルトガルならば交渉のチャンネルを開くことは容易(異星人とのそれに比べれば)だったろうが、二つの文明の間には交渉の下地となる信頼が一切ない。こうした状況下で二つの文明がどのような行動をとるのか。これが本作の持つ独特の緊張感を生み出している。

 

それに加えて素晴らしいのは探査される惑星への優しい視線も持ち合わせている点だ。最近ではコンキスタドールを無批判に英雄視する見方は減ってきているようだが、ダイラガー放送当時は西洋中心史観的に英雄視する見方も多かったという。しかしダイラガーではラガーチームが戦闘の末に星を破壊した件を自らの罪としてしっかりと受け止めている。

 

アニメとして好きな点を言うと、この作品、立場による人物の書き分けがめっぽううまいんですよ。怠惰に過ぎる地球の政治家などステレオタイプがないとは言わないけれど。ファクトベースの直截な話し方でラガーチームと衝突しかけたドクターサーチ、現場と本星のはざまに立つテレス司令、惑星探査を純粋に望む安芸、そうそう「裏切り者」シムを撃てないモブ兵士もいい。

 

輸送艦隊が全滅する話では不用意に出ていったラガーチームが全滅の引き金となってしまった。伊勢が与えた罰は砂糖を入れたカレーを食べさせるというコメディタッチなものだが「カレーに砂糖を入れる」というのは安芸がカレーの辛さに不満を述べた際の滅茶苦茶な改善案だったことを思うと専門外に首を突っ込む危険性をわかりやすく表現しているようでもある。

 

立場が人物を規定するとすれば生まれた星が違っても似た立場に置かれれば似た行動をとることもあるだろう。13話では安芸、ワルターキーツが地球からの支援がない中で仕事を続けなければならない苛立ちを露わにし、テレスの不可解な撤退命令を聞いたガルベストンのラフィットは士官クラスの苛立ちを気にかける。この話は演出、ストーリー共に白眉の出来と強く言いたい。

 

 ここまでべた褒めしてきたけど実は16話までしか見れてないんですよ。

頼むから全話見終えるまで配信を継続してくれ~~~!!!