せっかく見たので、リバイス the mystery(リバミス)についてミステリーとしての側面と仮面ライダーシリーズとしての側面からネタバレ込みでさくっとコメントを書き残しておく。
ミステリー
かつての2時間サスペンスではしばしばキャスティングを見ただけで犯人がわかったという。ゲストの中で一番格の高い役者には見せ場が用意されている=犯人であるというわけだ。
おそらくは偶然だろうが今作でもそのような推理から犯人をある程度絞り込める。
では登場キャラ/キャストを列挙してみよう。
西園寺鈴/逢沢りな
氷室美砂/新田あゆな
権田原太郎/児玉貴志
鮫島康夫/菅原卓磨
追田現八郎/井俣太良
上屋直人/唐橋充
花輪真蔵/金山一彦
どのように格を判断すれば良いのか。ここでは東映特撮ゆかりの役者が格の高い役者と考える。
まず新田あゆな氏は今回が初の演技だったらしいので犯人候補から除ける。その他のキャストは驚いたことに全員東映特撮に出演したことがある。
ゴーオンイエロー・アナザーエグゼイド(飯田)・町田(電王の肝試し回の殺人犯らしい)・追田現八郎・スネークオルフェノク・嶋護……改めて並べてみると印象深い面々が揃っている。
1ゲストに過ぎない飯田と町田も候補から消える。少し判断に迷うところだが嶋さんも変身することがほぼなく、出番も比較的短いためやや格が落ちるとみる。
残るのは三人となる。ここで追田現八郎も犯人候補から消してしまおう。現さんは仮面ライダードライブで正義の側に立っていた人物であり、そのような人物が殺人犯とは考えづらいからだ(スーパーヒーロー大戦GP仮面ライダー3号?チーターカタツムリ?知らない子ですね)。
となると二人しか残らない。あとは上屋直人という名前が海堂直也に通じることと上屋の職業が「ギター」講師であることを絡めて勘を働かせれば犯人を特定できる。
………………与太話のつもりが思ったより長くなってしまった。
もう少しだけ真面目な話をすると犯行の目的はひねりが効かせてあって面白かった。犯人が他の怪人を始末するためにヒーローの利用を試みてオルフェノクを思わせる砂を現場にばらまく筋書きはオルフェノク犯人説なりオルフェノクの存在なりがより早い段階から浮上していればさらに効果的だったかもしれない。
それでも「偽の手がかり」というのはメタミステリの最初の階梯の一つなので面白みは充分だと思う。
ただ残念なのは時間誤認トリックで、氷を使っているのなら床が濡れている描写がないのは個人的にはアンフェアかなという印象。別に目くじらを立てたいわけではないのだけどさりげなくそこを示してくれていたら素直に脱帽できていたと思う。
さらに情報開示について言うとペンションの中と外で捜査が並行して進むのは情報のコントロールがうまい。だがここでも注文をつけたくなってしまうのは、ジョージと照井の登場で中と外の壁が壊れる瞬間はもっと劇的に見せてほしかったということだ。オーディオコメンタリーでは「ヘリコプターで登場する予定だった」と語られていたが、これが実現していたらと思ってしまう。
綾辻行人の館シリーズでは外部の視点が持ち込まれることで館パートの大きな仕掛けが明かされるパターンが多くて、そこに影響を受けたものからすると今作のできあがりはややあっさりしていると思う。
仮面ライダー
リバイスの外伝エピソードとしてみるならヒロミの愛すべき人柄を感じられたのが大きな収穫だった。オーバーアクション気味のギャグが不思議とうるさくないし、魔性の女性に振り回されているというのもキャラを崩す上では結構説得力を持っているのではないかと思う。
次にライダーのスピンオフの流れで今作を見ると今作の立ち位置が独特であることが見えてくる。
最近公開されたクロスオーバー要素を含むスピンオフでは、大森P&高橋繋がりのゲンムズ*1や高橋P&福田繋がりのセイバー&ゴースト(ブレイズ&スペクター)、白倉伸一郎が手掛けた記念作繋がりのディケイド館と七人のジオウなど共通の製作陣の作品同士の共演が多い。
つながりが薄い作品同士の共演を楽しめる今作は春映画スピンオフの系譜に連なるといえる。個人的には4号もゴライダーも楽しんでみていた覚えがあるので今後もこういった挑戦は定期的にしてほしい。
ただこちらも注文をつけたいのは「ジョージ狩崎の手に渡った怪人スタンプがこの後も一騒動起こす」、そんな展開を予感させながら締めくくられたことだ。後の展開への布石を打つのも良いけどまずはエスパーダ&ネクロムを見せてくれ。「ブレン」の最後に見せられたチェイス復活の兆しはどうなった*2。
そんなにクリフハンガーさせられたら指が持たないよ。関係ないけどビルドの小説もそろそろ情報が欲しいぞ。
おまけ
「前科者だから」「オルフェノクだったから」という理由で人々が犯人扱いされているシーンが多くてある種の偏見が裏テーマなのかと思ったけど特に終盤拾われている感じもなかったので気のせいかもな。
同じくTELASA製作の配信オリジナル作品の感想はこちらから